論文詳細

敬心・研究ジャーナル第1巻 第2号
掲載ジャーナル
第1巻 第2号(ISSN2432-6240)
掲載ページ
P.121~P.130
発行日時
2017年10月01日
保育内容総論における「保育の質」に関する言説の性格
―テキストマイニングによる分析―
著者
安部高太朗1)
吉田直哉2)
所属機関
1)日本児童教育専門学校
2)神戸松蔭女子学院大学
抄録

本研究の目的は、保育内容総論の教科書において「保育の質」がどのように取り扱われているか、その言説の性格を明らかにするものである。本研究では、テキストマイニングソフト「KHコーダー」を用いた計量テキスト分析を行った。
 「質」をキーワードにして分析を進めた結果、「保育の質」に対する記述は、保育者から見た「実践の質」を議論するパターンと、子どもから見た「体験の質」を議論するパターン、以上の二つのパターンの言説があることがわかった。現状、「保育の質」というのは、もっぱら、プロセスの質であり、PDCAサイクルを踏まえた保育者の自己研鑽によって変わるようなものだけが「質の向上」の対象として語られている。こうした語り方の問題は、第一に数値化しにくい側面はそもそもPDCAによる質向上の議論から抜け落ちてしまうことであり、第二にPDCAサイクルを回しても、保育の構造の質、労働の質の改善は期待できないことが見えなくなることである。

キーワード
保育の質、保育内容総論、PDCAサイクル、保育学言説のコード
How is “the Quality of Early Childhood Education and Care(ECEC)” referred to in the Texts of “General Theories of ECEC?”
― An analysis using KH coder ―
Author
Abe Kotaro1)
Yoshida Naoya2)
Organization
1) Japan Juvenile Education College
2) Kobe shoin Women’s University
Abstract

Keyword