論文詳細

敬心・研究ジャーナル第6巻 第1号
掲載ジャーナル
第6巻 第1号(ISSN2432-6240)
掲載ページ
P.099~P.106
発行日時
2022年06月01日
保育研究法としての現象学的アプローチの有する諸課題
―榎沢良彦における「対話」概念の検討を通して―
著者
田口賢太郎1)
吉田直哉2)
安部高太朗3)
所属機関
1)埼玉県立大学 
2)大阪公立大学
3)郡山女子大学短期大学部
抄録

本稿は、榎沢良彦の現象学的保育学の中心概念である「対話」の検討を通じて、保育研究に対する現象学的アプローチの有効性とその限界を明らかにするものである。榎沢において「対話」とは、保育者と子どもが主体として共に生きる態様を指しており、さらに規範的・本来的な保育者-子どもの関係性を意味している。但し、「対話」において、子どもはもはや理解しうる対象ではなく、その都度の関わりの中で保育者に生成的に把握される存在として現われ、保育者はそのような生成的に把握される存在に向き合う中でしか自らの存在意義を確かめられない。現象学的アプローチの帰結として、特定の子どもとの関係性の深化を「対話」的関係として規範化し、それを以て保育の過程の質の向上として捉えることになるが、これは保育者の専門性あるいは資質・能力の向上を論じることができなくなることを意味する。

キーワード
子ども理解、保育者の存在論、保育実践の質的研究、現象学的還元
On Some Problems of Phenomenological Approach on ECEC
― Focusing on “Dialogue” in ENOSAWA Yoshihiko’s Thought ―
Author
Taguchi Kentaro1)
Yoshida Naoya2)
Abe Kotaro3)
Organization
1)Saitama Prefectural University
2)Osaka Metropolitan University
3)Koriyama Women’s College
Abstract

Keyword