論文詳細

敬心・研究ジャーナル第6巻 第1号
掲載ジャーナル
第6巻 第1号(ISSN2432-6240)
掲載ページ
P.059~P.066
発行日時
2022年06月01日
津守真における「省察」する保育者の反専門職的特質
著者
吉田直哉
所属機関
大阪公立大学
抄録

本稿は、児童心理学者・津守真の保育者論において、保育者に求められる「省察」が、専門性の枠を逸脱することを指摘するものである。津守は、子どもの内的世界を理解するための二つの前提を指摘する。すなわち、①生活の共有、②幼児期の共有である。保育者として成長することを、子どもとの関係の深まりそのものと見なすため、その子ども以外の子どもとのかかわりを始める場合は、そのたびごとに保育者の専門性は初期化される。生活を共にすることによって解釈=省察(再解釈、解釈の更新)が可能になり、その解釈の精度の向上が専門性の深まり自体だとすると、保育者の専門性は、保育者自身に内在するものではなく、特定の子どもとのかかわりに限局された個別文脈的な関係性だということになる。津守における専門性の個別文脈化は、専門性の応用可能性を把握不能とすると同時に、個々の保育者における専門性の獲得・蓄積についての検討をも不可能にする。

キーワード
保育者の専門性、情緒主義、専門職論、現象学的保育研究
Criticism of Tsumori Makoto’s thoughts on reflection of childcarer
Author
Yoshida Naoya
Organization
Osaka Metropolitan University
Abstract

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